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2026.07.16

捨てる前に、聞いてみたいことがありました。

先日、母の実家から持ち帰った品物を、 買取業者さん2社に査定していただきました。

引き出物の食器やシーツ、寝具類、置物、時計、銀杯、レコード… 。

「こんなの実家にあるなぁ」と思われるような物ばかりです。

一つひとつ見ていただくと、「これは買取できます」「 これは難しいですね」と、品物の価値が少しずつ見えてきました。

査定が終わってから、友人に「銀杯に値段が付いたよ」 と話したところ、

「銀杯?迷わず捨てたかも(笑)」

と返信が返ってきました。

私は思わず、

「処分する前に、 一度だけでも買取業者さんに見てもらった方が良かったと思うよ。 後の祭りだけどね。」

と返しました。

価値がある物が見つかることもありますし、 無料で引き取ってもらえる物もあります。

でも、今回私が一番心に残ったのは、 お金の話ではありませんでした。


査定の最後、 大きなつい立ても引き取っていただけることになりました。

私は正直、

「クリーンセンターに持って行かなくて済んで良かった。」

その程度にしか思っていませんでした。

軽トラックへ積み替えている時、業者さんがぽつりと言いました。

「これ、刺繍なんですね。」

「えっ?」

私はずっと絵だと思っていたのです。

近づいてよく見ると、本当に刺繍でした。

そして、さらに驚いたのは、 その作品に叔母の名前が書かれていたことです。

母の実家へ行くたび、何十年も見てきたつい立て。

なのに私は、その日初めて叔母の作品だったことを知りました。

思わず写真を撮りました。


その瞬間、思いました。

「次に帰省したら、母に聞いてみよう。」

誰が仕立てたのだろう。

どんな思いで作ったのだろう。

当時はいくらくらいかかったのだろう。

もし機会があれば、叔母にも聞いてみたい。

従兄弟たちは、この作品のことを知っているのだろうか。

そんなことまで考えるようになりました。

もちろん、母も叔母も「そんな昔のこと覚えてないよ」 と笑うかもしれません。

それでもいいんです。

聞ける今がある。

そのこと自体が、とても大切なのだと思いました。


生前整理というと、「物を減らすこと」「片付けること」 というイメージがあるかもしれません。

もちろん、それも大切です。

でも私は今回、もう一つ大切な意味に気づきました。

生前整理は、 物にまつわる思い出や家族の歴史を聞ける時間でもある。

遺品整理になってしまえば、

「これは誰が作ったの?」

「どうしてここにあるの?」

そんな何気ない疑問に答えてくれる人は、もういません。

だから私は、 処分する前に少しだけ立ち止まってほしいと思います。

そして、ご家族がそばにいるなら、 物にまつわる思い出を聞いてみてください。

思いがけない家族の物語に出会えるかもしれません。

物を整理することは、思い出まで捨てることではありません。

その思い出を受け継ぐための時間こそ、 生前整理の大切な意味なのだと、私は今回あらためて感じました。

 
 
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