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2026.08.09

「夢みたい。」

「夢みたい。」

十数年ぶりに会った叔母は、私の顔を見るなり、 涙ぐみながら何度もそう言いました。

その言葉を聞いた瞬間、私も胸がいっぱいになりました。

「私も会いたかったんだよ。」

そう伝えるのが精一杯でした。

今回、叔母を訪ねたきっかけは、一枚のつい立てでした。

以前のコラム「捨てる前に、聞いてみたいことがありました。」 で書いた、あのつい立てです。

私の母は今、自分の手で少しずつ生前整理をしています。

その中でも、ずっと気掛かりだったのが、 空き家になった自分の実家のことでした。

荷物のほとんどは整理を終えましたが、最後まで残っていたのは、 大きな家具や額など、自分たちでは動かせない物ばかり。

そして、その一つが、私が子どもの頃から母の実家にあった、 あのつい立てでした。

私はずっと絵だと思っていたのですが、 それが叔母の刺繍だったと知り、とても驚きました。

「どんな思いで作ったんだろう。」

その話を聞きたくて、帰省した時に叔母を訪ねました。

叔母は、富士山が大好きだった私の祖母が、 いくつかある図案の中から選び、自分が刺繍をしたこと。そして、 それを祖母がつい立てに仕立てたことを話してくれました。

「つい立ては処分してくれて大丈夫よ。」

「実家のこと、色々してくれてありがとう。」

そう話す叔母の表情は、とても穏やかでした。

でも、私の心に一番残ったのは、やはり最初の一言でした。

「夢みたい。」

高齢になると、車を運転しなくなったり、 思うように出掛けられなくなったりします。

会いたくても、会えない。

だからこそ、会いに行ける人が会いに行く。

そんな時間が、これからはもっと大切になるのかもしれません。

今回の私には、一枚のつい立てが、そのきっかけでした。

きっかけは、人それぞれ。

もし、「どうしているかな。」と気になっている方がいたら、 このお盆、少しだけ足を延ばして会いに行ってみませんか。

叔母が涙ぐみながら何度も口にした「夢みたい。」という言葉は、 今も私の心から離れません。

 
 
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