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2026.08.20

あの頃の私が、してほしかったこと。

「すみません、散らかしっぱなしで。あとよろしくお願いします」

そう言って、慌ただしく出かけていかれたお客様。

小学生のお子さんがいる、子育て世代のお客様です。

90代のお客様も珍しくないくらととでは、 子育て世代のお客様は少数派です。

その日は、お子さんの習い事や仕事が重なり、 とても忙しそうでした。

「お任せください。いってらっしゃいませ」

そう言って、お見送りしました。

いつもの作業を進めながら、 洗濯が終わっていることに気づきました。

普段、洗濯物を干したり、たたんだりすることは、 このお宅での作業には入っていません。

でも、その日は思いました。

夜遅く帰ってきて、これが残っていたら嫌だろうな。

帰ってきてからやろうと思っていることを、 一つでも減らしておきたい。

そう思って、洗濯物を干し、乾いていた洗濯物をたたみました。

そして帰る前に、家のカーテンを閉めて回りました。

その時、ふと思い出したことがあります。

子どもの頃、夕方になると母から、

「カーテン閉めて」

と頼まれて、家のカーテンを閉めて回っていたことです。

あの頃は、ただのお手伝いだと思っていました。

カーテンを閉めることなんて、大したことではない。

でも今なら分かります。

夕方の忙しい時間に、誰かがやってくれる。

たったそれだけでも、ありがたいことだったんですよね。

私にも、子育てに追われていた時代がありました。

子どもの習い事の送迎をして、夕飯を作って、家事をして。

時間はどんどん押していくのに、 誰かが代わりにやってくれるわけではありません。

「まだこれもやらなきゃ」
「あれも終わってない」

一人でイライラして、 時には子どもに当たってしまったこともありました。

だから今なら、 あの頃の自分が何をしてほしかったのかが分かります。

帰ってきた時、

「あ、洗濯物が干してある」
「たたんである」
「カーテンも閉まってる」

そんな小さなことでも、「帰ったらやらなくちゃ」 と頭の中にあったものが一つ減る。

その分、少しだけゆっくりできるかもしれません。

くらととは、高齢のお客様が多く、 今は実家片付けや生前整理にも力を入れています。

でも、困っているのは高齢者だけではありません。

子育てをしながら、仕事をしながら、 毎日の家事に追われている人もいます。

私自身がそんな時代を通ってきたからこそ、 分かることもあります。

子どもの頃、母に頼まれて閉めていたカーテン。

何十年も経って今は、仕事で誰かの家のカーテンを閉めています。

子育てに追われていた頃の私が、誰かにしてほしかったことを。

今は私が、誰かにしてあげられる。

そんなことを思いながら、最後のカーテンを閉めました。



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