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2026.10.20

漠然とした不安を、数字にしてみる。

先日参加した介護事業者の異業種交流会で、こんな声が上がりました。

「年金で入れる施設が欲しい」

介護の現場を知っている方だからこそ、施設入所にかかる費用と、年金収入との間にある難しさを感じているのだと思います。

ただ、私はその言葉を聞いて、もう一つ考えたことがあります。

「年金で入れる」といっても、人によって年金額は違うということです。

月5万円程度の方もいれば、20万円を超える方もいます。

同じ施設であっても、年金だけで費用を賄える方もいれば、預貯金を取り崩さなければならない方もいるでしょう。

大切なのは、「年金で入れる施設があるか」だけではなく、「自分の場合はどうなのか」を知ることだと思います。

預貯金が1,000万円あれば安心?
例えば、預貯金が1,000万円あるとします。

まとまった金額ですから、何となく安心できるかもしれません。

では、施設入所後の毎月の支出が20万円だったら、どうでしょう。

年金収入が月5万円なら、毎月15万円を預貯金から取り崩すことになります。

年間180万円。

1,000万円の預貯金は、単純計算で約5年7か月でなくなります。

一方、年金収入が月20万円あれば、毎月の支出を年金で賄える計算になります。

同じ1,000万円の預貯金でも、収入と支出によって状況は大きく違うのです。

もちろん、実際には入居時の費用や医療費などもかかります。

だからこそ、今ある預貯金の額だけではなく、毎月の収入と支出を把握し、そのお金がいつまで持つのかを考えることが大切なのです。

お金の寿命と、自分の寿命
では、5年7か月後も元気に暮らしていたら?

預貯金が尽きても、人生は続きます。

その先の暮らしをどうするのか。

そう考えると、不安になるかもしれません。

でも、数字を知らずに「何となく大丈夫」と思っていることも、決して安心とはいえないのではないでしょうか。

預貯金がいつまで持つのか。

これを「資金寿命」といいます。

買えることと、払い続けられることは違う
これは施設入所に限った話ではありません。

例えば、車の購入。

購入代金を用意できたとしても、その後には保険料、税金、車検、燃料代、修理代などがかかります。

住宅購入も同じです。

「今の家賃と住宅ローンの返済額が同じだから大丈夫」

そう考えていても、持ち家には固定資産税や修繕費などが必要になります。

さらに、住宅の修繕費がかさむ時期に、子どもの教育費が重なるかもしれません。

今、欲しい。

今なら買える。

その気持ちだけでなく、将来も無理なく払い続けられるのか。

そこまで考えておきたいものです。

数字を知ることは、選択肢を持つこと
漠然とした不安は、数字にしてみることで整理できることがあります。

反対に、何となく大丈夫だと思っていたことが、数字にしてみると厳しいとわかる場合もあります。

でも、それは決して悪いことではありません。

早く気づけば、準備する時間ができます。

施設入所を考えていた方が、もう少し自宅で暮らす方法を探してみようと思うかもしれません。

今のうちから施設の費用を調べておこうと思う方もいるでしょう。

毎月の支出を見直してみようと思う方もいるかもしれません。

反対に、十分な準備ができているとわかり、安心して施設入所を決められる方もいるでしょう。

もちろん、費用だけでなく、健康状態や介護の必要性、安全に暮らせる環境かどうかも大切です。

どれが正解ということではありません。

大切なのは、何となく大丈夫、何となく不安、で終わらせないこと。

実家の片付けや生前整理も、物を整理することだけが目的ではありません。

親御さんがこれからどこで、どのように暮らしていくのか。

その先の暮らしを考えることにもつながっています。

自分のこれからを、自分で考え、納得して選ぶために。

まずは、お金の見える化から始めてみませんか。


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